2016年の回顧

 駆け足で振り返ると、はてなブックマーク別館 稲田朋美防衛大臣の就任会見に関する質問 - 書房日記はてなブックマークでは今年最大の反響で、貧困女子高校生報道を巡る問題についてのはてなブックマーク別館 自称愛国似非保守の言論における誤認と無責任さについて - 書房日記にしても、結局は現代日本の似非保守に対する批判ということになるだろうか。


 結果的に一番記事数が多かったのは将棋のソフト使用不正疑惑、いや不正疑惑を巡る日本将棋連盟の対応の不当性に関するもので、竜王戦挑戦者出場停止事件 - 書房日記に始まり今週の日本将棋連盟の不正疑惑対応とその不当性について - 書房日記まで、論旨と結論はほとんど変わっていないつもりだけれど毎回こちらの予想を上回る自体に閉口しながら書く破目になった。
 くしくも積読本のリストを「順位戦」と銘打って載せだしたところだったので、本家順位戦の歴史にまさかの汚点が残るとはと感じたものだった。


 加藤寛治日記と1929年の美保関滞在について - 書房日記はDG-Lawさんの鳥取・島根旅行記記事がきっかけになって書かれたもので独立性の高い単発記事だが、これぐらい限定された主題に当たっても十分記事が1つ書けるんだと感じさせられ、あれこれ考えるよりも取りあえず書いて残しておくと後から参照出来て良い、ということを改めて実感した次第。

 そういう視点だと、DG-Lawさんのブックマークをまとめ直した記事(いい感じに少し前のブックマークで読んだ記事を再度紹介して貰えるので勝手に時間差記事と読んでいる)のような、ブックマークなりハイクなりをまとめ直したものをここに置いていくのも良いかなと、これは来年の運営の課題だろう。ハイクでぼそっと書いたつもりのはてなブックマーク - 劇場版で西住まほが作戦名に「ニュルンベルクのマイスタージンガー作戦」と提案... - ガルパン - shigak19 - はてなハイクがこれも有数の反響だったので、機会があればまとめ直したい。

 去年は従軍慰安婦に関する日韓合意に何だかなと感じた休み入りだったけれど、今年は日本将棋連盟の会見と首相の真珠湾演説に何だかなと感じつつ、休みに入ることとしたい。今年も何かと有難うございました。来年もどうぞ宜しく。

日本将棋連盟の不正疑惑対応とその不当性について

過去3度の記事でも延々書いてきたことであるが、この事件は動きがあればある程、予想を上回る事態が起こり、全く閉口したくなる憂鬱な気分で記事を書くことになる。

既に3度の記事で提示した視点を再提示するものに過ぎないが、今この時点で改めて書きたいという心情の赴くままに書き連ねることにも多少の意味はあると考えて、以下の文章を記した。正確性を欠く面もあるやもしれないけれど、読者諸賢の御批判をお待ちしたい。


日本将棋連盟の設置した第三者委員会は、三浦弘行九段の不正疑惑について、不正行為に関する証拠が不十分で不正の事実を証明することが出来ないとする旨の調査結果を公表した。

このこと自体は、当方が何度か論じてきたことであるが、筋が通っていて、一連の事態の中では丸山忠久九段の筋の通った意思表示と共に、数少ない真っ当な判断であろう。

しかし第三者委員会は、竜王戦前の不十分な証拠での処分を「妥当」と判断している。これは連盟側から依頼された委員会として連盟寄りの姿勢であるという事情があるにしても、不当な判断と言わねばならない。当方が既に論じているように、不十分な証拠しか揃っていないのならば証拠不十分で不処分にすべきだったし、竜王戦という一タイトル戦の名声・評判のために、不十分な証拠で以て挑戦者を排除することこそが、人間対人間の勝負を保障するという将棋の根本精神を踏みにじる危うい行為だったのであり、緊急性は処分を妥当とする根拠にはなりえないと考えるべきではないか。連盟の理事会・常務会の責任を減免するような、政治的な決定とさえ言えるかもしれない。

さらに今回最も批判すべき点は、谷川浩司会長以下の日本将棋連盟理事会がこの第三者委員会判断に基づいて、三浦九段への謝罪は行ったものの、自らの責任を不問に付し会長ら3名の減俸処分にとどめた上に、朝日新聞の報道によれば何と救済措置として「不利益の救済策の一つとして、連盟は、来期もA級の地位を保証することを決定」したということにある(http://www.asahi.com/articles/ASJDW4TVNJDWUCVL01C.html 村瀬記者の、20時34分付けウェブ版記事)。

ここまでくると、棋士たちを中心に構成されているはずの将棋連盟理事会にとって、順位戦の重みとは、勝負の重みとは、将棋とは何なのか、と問わざるを得ない。勝手にA級順位戦を不戦敗にしておいて、その処分が不当だったら救済措置として即A級残留を確定するなど、これはもはや政治の世界の論理であって、勝負の、将棋の世界の論理ではないのではないか。A級順位戦を勝ち抜いて名人に挑戦すること3度、遂に名人位5期獲得によって永世名人の称号を得た谷川浩司会長にとって、A級棋士の地位は盤上での指し手ではなく連盟理事会の、それも一度目は明らかに不当だった決定に2度までも左右されても良い程度のものに過ぎないのだろうか。

A級順位戦の三浦九段不戦敗分の取り消しは当たり前だが、その分は指し直しにすべきで、そこで敗れたのならば一敗は一敗として計上するのが、棋士人生ある限り付いて回る順位戦の成績の決め方だろうと考える当方は、いささか単純すぎるのだろうか。

何度か書いてきたことだが、実力名人制以来、順位戦も将棋界も、盤上での指し手こそが全てという勝負の論理に貫かれて成立してきたのであり、その論理に反して挑戦者を差し替えた上、その処分の不当性をA級残留という超法規的措置で補おうとする連盟理事会はもはやこの論理に反しており、この論理に基づく将棋界が崩壊するか、この論理をないがしろにする理事会と将棋連盟が滅びるしかないのではないか、と当方は感じざるをえない。

将棋連盟の正会員たるプロ棋士一人一人が、一手一手の指し手に、人間対人間の勝負に意味を見出し一生を懸けるという将棋棋士の原点を改めて愚直に尊重し、良心的に行動することを、一将棋ファンとして願ってやまない。

第6期積読本順位戦

第6期積読順位戦

A級 挑戦1冊、降級2冊(読了本が出たら、1冊)

挑戦中 荻原魚雷『閑な読書人』晶文社


1 家永三郎『太平洋戦争』岩波現代文庫

2 『丸山眞男集』第3巻 岩波書店

3 市村弘正『小さなものの諸形態』平凡社ライブラリー

4 阿部謹也『北の街にて』講談社

5 齋藤純一『政治と複数性』岩波書店

6 丸山眞男『自己内対話』みすず書房

7 猪谷千香『つながる図書館』ちくま新書

8 鹿野政直『近代日本の民間学岩波新書黄版

9 吉沢南『個と共同性』東京大学出版会

10 岡田暁生『音楽の聴き方』中公新書


B級1組 昇級2冊、降級2冊(Aからの降級1の場合1)

1 岡崎武志『貧乏は幸せのはじまり』ちくま文庫

2 保立道久『ブックガイドシリーズ基本の30冊 日本史学』人文書院

3 『市民の図書館』増補版 日本図書館協会

4 米澤嘉博『戦後少女マンガ史』ちくま文庫 

5 ガイリンガー『ブラームス』芸術現代社

6 柴田三千雄『近代世界と民衆運動』岩波書店

7 『岩波講座日本歴史 近代3』岩波書店 

8 竹宮恵子風と木の詩』1 白泉社文庫

9 黒羽清隆『十五年戦争史序説』三省堂

10 プラトン『国家』上 岩波文庫

11 大谷正『日清戦争中公新書

12 渡辺京二北一輝ちくま学芸文庫

13 網野善彦『蒙古襲来』上 小学館ライブラリー



B級2組 昇級2冊、降級2冊

1 遅塚忠躬『史学概論』東京大学出版会

2 棚橋光男『王朝の社会』小学館ライブラリー

3 良知力『マルクスと批判者群像』平凡社ライブラリー

4 丸山眞男『現代政治の思想と行動』未来社

5 加藤周一『高原好日』ちくま文庫

6 米澤嘉博『戦後SFマンガ史』ちくま文庫

7 『中井正一評論集』岩波文庫

8 吉見義明『焼跡からのデモクラシー』上 岩波現代選書

9 藤井忠俊『国防婦人会』岩波新書黄版

10 『長谷川如是閑評論集』岩波文庫

11 藤田省三久野収鶴見俊輔『戦後日本の思想』岩波現代文庫

12 千野栄一プラハの古本屋』大修館書店

13 竹宮恵子風と木の詩』3 白泉社文庫 

14 近藤成一『シリーズ日本中世史2 鎌倉幕府と朝廷』岩波新書新赤版

15 萩尾望都トーマの心臓小学館文庫

16 大島弓子『夏の終わりのト短調白泉社文庫

17 安丸良夫出口なお』朝日選書

18 森政稔『変貌する民主主義』ちくま新書

19 『「慰安婦」問題を/から考える』岩波書店

20 上野英信『追われゆく坑夫たち』岩波新書青版

21 芝健介『武装SS』講談社選書メチエ

22 石母田正『歴史と民族の発見』東京大学出版会

23 竹宮恵子風と木の詩』2 白泉社文庫

24 藤井譲治『シリーズ日本近世史1 戦国乱世から太平の世へ』岩波新書新赤版

25 近藤ようこ『水鏡綺譚』ちくま文庫

26 大島弓子『バナナブレッドのプディング白泉社文庫

27 荒川章二『軍隊と地域』青木書店

28 逸村裕・竹内比呂也編『変わりゆく大学図書館勁草書房

29 上野修スピノザ『神学政治論』を読む』ちくま学芸文庫

30 マックス・ヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』岩波文庫 

31 古関彰一『日本国憲法の誕生』岩波現代文庫
 



C級1組 昇級2冊

1 『加藤周一セレクション』5 平凡社ライブラリー

2 勝俣鎮夫『一揆岩波新書黄版

3 『池田理代子短篇集』1 中公文庫コミック版

4 川崎良孝『図書館の歴史 アメリカ篇』日本図書館協会

5 鹿野政直『歴史のなかの個性たち』有斐閣

6 『世界の文学新集17 戦争と平和1』中央公論社

7 池内敏『竹島中公新書

8 ハシェク兵士シュベイクの冒険』1 岩波文庫

9 吉澤南『ベトナム戦争 民衆にとっての戦場』吉川弘文館

10 戸坂潤『日本イデオロギー論』岩波文庫

11 ルービン『図書館情報学概論』東京大学出版会

12 柄谷行人『世界史の構造』岩波現代文庫

13 山内志朗『普遍論争』平凡社ライブラリー

14 佐藤進一『古文書学入門』新版 法政大学出版局

15 フィッツジェラルドマイ・ロスト・シティー』中公文庫

16 中勘助銀の匙岩波文庫

17 宮内泰介・藤林泰『かつお節と日本人』岩波新書新赤版

18 高見順『敗戦日記』文春文庫

19 『日本残酷物語』1 平凡社ライブラリー

20 小川徹ほか編『公共図書館サービス・運動の歴史』1 日本図書館協会

21 広田照幸『ヒューマニティーズ教育学』岩波書店

22 大岡昇平ミンドロ島ふたたび』中公文庫

23 安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』青木書店

24 二宮宏之『マルク・ブロックを読む』岩波書店

25 小田実『「難死」の思想』岩波現代文庫

26 木畑洋一『二〇世紀の歴史』岩波新書新赤版

27 本田和子『異文化としての子ども』ちくま学芸文庫

28 内田義彦『社会認識の歩み』岩波新書青版

29 森武麿『集英社版日本の歴史 アジア・太平洋戦争集英社

30 鹿野政直『日本の近代思想』岩波新書新赤版

31 植村邦彦『市民社会とは何か』平凡社新書

32 宮地正人『日露戦後政治史の研究』東京大学出版会

33 黒田日出男『増補 絵画史料で歴史を読む』ちくま学芸文庫

34 『竹宮惠子SF短篇集2 オルフェの遺言』中公文庫コミック版

35 松本清張『或る「小倉日記」伝』新潮文庫

36 庄野潤三夕べの雲講談社文芸文庫

37 福永武彦『忘却の河』新潮文庫

38 マーティン・ジェイ『マルクス主義と全体性』国文社

39 前田愛『都市空間のなかの文学』ちくま学芸文庫

40 長尾真『電子図書館』新装版 岩波書店

41 宮地正人『国際政治下の近代日本』山川出版社

42 杉原達『中国人強制連行』岩波新書新赤版

43 市村弘正『増補 「名づけ」の精神史』平凡社ライブラリー

44 永原慶二『日本の歴史10 下剋上の時代』中公文庫

45 『竹宮惠子SF短篇集3 殺意の底』中公文庫コミック版

46 青木正美『古本屋五十年』ちくま文庫




C級2組 昇級3冊


1 大塚久雄『社会科学の方法』岩波新書青版

2 辻邦生『背教者ユリアヌス』上 中公文庫

3 橋川文三ナショナリズムちくま学芸文庫

4 江口圭一『十五年戦争研究史論』校倉書房

5 池澤夏樹『読書癖』1 みすず書房

6 永原慶二『新・木綿以前のこと』中公新書

7 牧原憲夫『客分と国民のあいだ』吉川弘文館

8 ウンベルト・エコ『論文作法』而立書房

9 原田敬一『シリーズ日本近現代史3 日清・日露戦争岩波新書新赤版

10 清水透『エル・チチョンの怒り』東京大学出版会

11 サラ・パレツキー『サマー・タイム・ブルース』ハヤカワ・ミステリ文庫

12 荒畑寒村『寒村自伝』上 岩波文庫

13 ベッケール・クルマイヒ『仏独通史 第一次世界大戦』上 岩波書店

14 鶴見俊輔久野収現代日本の思想』岩波新書青版

15 村井章介『中世倭人伝』岩波新書新赤版

16 野呂栄太郎『日本資本主義発達史』岩波文庫

17 加瀬和俊『集団就職の時代』青木書店

18 杉原達『越境する民 近代大阪の朝鮮人史研究』新幹社

19 ダール『ポリアーキー三一書房

20 永原陽子編『「植民地責任」論』青木書店

21 四方田犬彦『漫画原論』ちくま学芸文庫

22 大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍文芸春秋

23 宮崎駿『本へのとびら』岩波新書新赤版

24 カレル・チャペック『ロボット』岩波文庫

25 小田実『何でも見てやろう』講談社文庫

26 佐藤忠男長谷川伸論』岩波現代文庫

27 安田浩『近代天皇制国家の歴史的位置』大月書店

28 高橋昌明『増補改訂 清盛以前』平凡社ライブラリー

29 小山力也『古本屋・ツアー・イン・ジャパン』原書房

30 澄田喜広『古本屋になろう!』青弓社

31 増田四郎『都市』筑摩書房

32 広井良典『コミュニティを問いなおす』ちくま新書

33 ヘーゲル『歴史哲学講義』上 岩波文庫

34 斎藤美奈子『モダンガール論』文春文庫

35 土肥恒之『西洋史学の先駆者たち』中公叢書

36 ジョン・ロック『完訳 統治二論』岩波文庫

37 岡部牧夫『海を渡った日本人』日本史リブレット

38 鶴見俊輔『限界芸術論』勁草書房

39 田中芳樹夏の魔術講談社文庫

40 堀田善衛『ミシェル 城館の人 第一部』集英社文庫

41 マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』ハヤカワ文庫

42 くらもちふさこ天然コケッコー』1 集英社文庫

43 朝尾直弘『日本近世史の自立』校倉書房 

44 アンドルー・ゴードン『ミシンと日本の近代』みすず書房

45 吉澤誠一郎『シリーズ中国近現代史1 清朝と近代世界』岩波新書新赤版

46 清岡卓行アカシヤの大連講談社文芸文庫

47 木村靖二『第一次世界大戦ちくま新書

48 牧原憲夫『シリーズ日本近現代史2 民権と憲法岩波新書新赤版

49 吉田裕『現代歴史学と戦争責任』青木書店

50 ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』上 岩波書店

51 四方田犬彦『ソウルの風景』岩波新書新赤版

52 竹前栄治『占領戦後史』同時代ライブラリー

53 田尻宗昭『四日市・死の海と闘う』岩波新書青版

54 長井勝一『「ガロ」編集長』ちくま文庫

55 松沢弘陽『近代日本の形成と西洋経験』岩波書店、1993年

56 鶴見俊輔竹内好岩波現代文庫

57 渋谷定輔『農民哀史から六十年』岩波新書黄版、1986年

58 町村敬志『「世界都市」東京の構造転換』東京大学出版会

59 鹿野政直『近代社会と格闘する思想家たち』岩波ジュニア新書、2005年


第1期 松本清張ゼロの焦点』カッパノベルズ

第2期 なし

第3期 村井吉敬『エビと日本人』岩波新書新赤版

第4期 桜井英治『贈与と歴史学中公新書

第5期 前川恒雄『移動図書館ひまわり号』夏葉社

第5期積読本順位戦

第5期積読順位戦

A級 挑戦1冊、降級2冊(読了本が出たら、1冊)

挑戦中 前川恒雄『移動図書館ひまわり号』夏葉社


1 家永三郎『太平洋戦争』岩波現代文庫

2 『丸山眞男集』第3巻 岩波書店

3 荻原魚雷『閑な読書人』晶文社

4 阿部謹也『北の街にて』講談社

5 齋藤純一『政治と複数性』岩波書店

6 丸山眞男『自己内対話』みすず書房

7 猪谷千香『つながる図書館』ちくま新書

8 鹿野政直『近代日本の民間学岩波新書黄版

9 岡崎武志『貧乏は幸せのはじまり』ちくま文庫

10 市村弘正『小さなものの諸形態』平凡社ライブラリー


B級1組 昇級2冊、降級2冊(Aからの降級1の場合1)

1 保立道久『ブックガイドシリーズ基本の30冊 日本史学』人文書院

2 吉沢南『個と共同性』東京大学出版会

3 岡田暁生『音楽の聴き方』中公新書

4 米澤嘉博『戦後少女マンガ史』ちくま文庫 

5 ガイリンガー『ブラームス』芸術現代社

6 柴田三千雄『近代世界と民衆運動』岩波書店

7 『岩波講座日本歴史 近代3』岩波書店 

8 遅塚忠躬『史学概論』東京大学出版会

9 黒羽清隆『十五年戦争史序説』三省堂

10 プラトン『国家』上 岩波文庫

11 『市民の図書館』増補版 日本図書館協会

12 大谷正『日清戦争中公新書

13 竹宮恵子風と木の詩』1 白泉社文庫



B級2組 昇級2冊、降級2冊

1 『「慰安婦」問題を/から考える』岩波書店

2 棚橋光男『王朝の社会』小学館ライブラリー

3 網野善彦『蒙古襲来』上 小学館ライブラリー

4 丸山眞男『現代政治の思想と行動』未来社

5 加藤周一『高原好日』ちくま文庫

6 米澤嘉博『戦後SFマンガ史』ちくま文庫

7 『中井正一評論集』岩波文庫

8 吉見義明『焼跡からのデモクラシー』上 岩波現代選書

9 藤井忠俊『国防婦人会』岩波新書黄版

10 『長谷川如是閑評論集』岩波文庫

11 藤田省三久野収鶴見俊輔『戦後日本の思想』岩波現代文庫

12 勝俣鎮夫『一揆岩波新書黄版

13 竹宮恵子風と木の詩』3 白泉社文庫 

14 近藤成一『シリーズ日本中世史2 鎌倉幕府と朝廷』岩波新書新赤版

15 萩尾望都トーマの心臓小学館文庫

16 大島弓子『夏の終わりのト短調白泉社文庫

17 安丸良夫出口なお』朝日選書

18 森政稔『変貌する民主主義』ちくま新書

19 『加藤周一セレクション』5 平凡社ライブラリー 

20 上野英信『追われゆく坑夫たち』岩波新書青版

21 渡辺京二北一輝ちくま学芸文庫

22 千野栄一プラハの古本屋』大修館書店

23 竹宮恵子風と木の詩』2 白泉社文庫

24 藤井譲治『シリーズ日本近世史1 戦国乱世から太平の世へ』岩波新書新赤版

25 近藤ようこ『水鏡綺譚』ちくま文庫

26 大島弓子『バナナブレッドのプディング白泉社文庫

27 荒川章二『軍隊と地域』青木書店

28 良知力『マルクスと批判者群像』平凡社ライブラリー

29 上野修スピノザ『神学政治論』を読む』ちくま学芸文庫

30 逸村裕・竹内比呂也編『変わりゆく大学図書館勁草書房

31 石母田正『歴史と民族の発見』東京大学出版会

32 芝健介『武装SS』講談社選書メチエ

 



C級1組 昇級2冊

1 ルービン『図書館情報学概論』東京大学出版会

2 柄谷行人『世界史の構造』岩波現代文庫

3 『池田理代子短篇集』1 中公文庫コミック版

4 川崎良孝『図書館の歴史 アメリカ篇』日本図書館協会

5 鹿野政直『歴史のなかの個性たち』有斐閣

6 『世界の文学新集17 戦争と平和1』中央公論社

7 池内敏『竹島中公新書

8 ハシェク兵士シュベイクの冒険』1 岩波文庫

9 吉澤南『ベトナム戦争 民衆にとっての戦場』吉川弘文館

10 戸坂潤『日本イデオロギー論』岩波文庫

11 マックス・ヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』岩波文庫

12 古関彰一『日本国憲法の誕生』岩波現代文庫

13 山内志朗『普遍論争』平凡社ライブラリー

14 佐藤進一『古文書学入門』新版 法政大学出版局

15 フィッツジェラルドマイ・ロスト・シティー』中公文庫

16 中勘助銀の匙岩波文庫

17 宮内泰介・藤林泰『かつお節と日本人』岩波新書新赤版

18 高見順『敗戦日記』文春文庫

19 『日本残酷物語』1 平凡社ライブラリー

20 小川徹ほか編『公共図書館サービス・運動の歴史』1 日本図書館協会

21 広田照幸『ヒューマニティーズ教育学』岩波書店

22 大岡昇平ミンドロ島ふたたび』中公文庫

23 安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』青木書店

24 二宮宏之『マルク・ブロックを読む』岩波書店

25 小田実『「難死」の思想』岩波現代文庫

26 木畑洋一『二〇世紀の歴史』岩波新書新赤版

27 本田和子『異文化としての子ども』ちくま学芸文庫

28 内田義彦『社会認識の歩み』岩波新書青版

29 森武麿『集英社版日本の歴史 アジア・太平洋戦争集英社

30 鹿野政直『日本の近代思想』岩波新書新赤版

31 植村邦彦『市民社会とは何か』平凡社新書

32 宮地正人『日露戦後政治史の研究』東京大学出版会

33 黒田日出男『増補 絵画史料で歴史を読む』ちくま学芸文庫

34 『竹宮惠子SF短篇集2 オルフェの遺言』中公文庫コミック版

35 松本清張『或る「小倉日記」伝』新潮文庫

36 庄野潤三夕べの雲講談社文芸文庫

37 福永武彦『忘却の河』新潮文庫

38 マーティン・ジェイ『マルクス主義と全体性』国文社

39 前田愛『都市空間のなかの文学』ちくま学芸文庫

40 長尾真『電子図書館』新装版 岩波書店

41 宮地正人『国際政治下の近代日本』山川出版社

42 杉原達『中国人強制連行』岩波新書新赤版

43 市村弘正『増補 「名づけ」の精神史』平凡社ライブラリー




C級2組 昇級3冊


1 大塚久雄『社会科学の方法』岩波新書青版

2 辻邦生『背教者ユリアヌス』上 中公文庫

3 橋川文三ナショナリズムちくま学芸文庫

4 江口圭一『十五年戦争研究史論』校倉書房

5 永原慶二『日本の歴史10 下剋上の時代』中公文庫

6 永原慶二『新・木綿以前のこと』中公新書

7 牧原憲夫『客分と国民のあいだ』吉川弘文館

8 ウンベルト・エコ『論文作法』而立書房

9 原田敬一『シリーズ日本近現代史3 日清・日露戦争岩波新書新赤版

10 清水透『エル・チチョンの怒り』東京大学出版会

11 サラ・パレツキー『サマー・タイム・ブルース』ハヤカワ・ミステリ文庫

12 荒畑寒村『寒村自伝』上 岩波文庫

13 ベッケール・クルマイヒ『仏独通史 第一次世界大戦』上 岩波書店

14 鶴見俊輔久野収現代日本の思想』岩波新書青版

15 村井章介『中世倭人伝』岩波新書新赤版

16 野呂栄太郎『日本資本主義発達史』岩波文庫

17 加瀬和俊『集団就職の時代』青木書店

18 杉原達『越境する民 近代大阪の朝鮮人史研究』新幹社

19 ダール『ポリアーキー三一書房

20 永原陽子編『「植民地責任」論』青木書店

21 四方田犬彦『漫画原論』ちくま学芸文庫

22 大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍文芸春秋

23 宮崎駿『本へのとびら』岩波新書新赤版

24 カレル・チャペック『ロボット』岩波文庫

25 ※小田実『何でも見てやろう』講談社文庫

26 佐藤忠男長谷川伸論』岩波現代文庫

27 安田浩『近代天皇制国家の歴史的位置』大月書店

28 高橋昌明『増補改訂 清盛以前』平凡社ライブラリー

29 小山力也『古本屋・ツアー・イン・ジャパン』原書房

30 澄田喜広『古本屋になろう!』青弓社

31 増田四郎『都市』筑摩書房

32 ※広井良典『コミュニティを問いなおす』ちくま新書

33 ※※ヘーゲル『歴史哲学講義』上 岩波文庫

34 ※斎藤美奈子『モダンガール論』文春文庫

35 ※土肥恒之『西洋史学の先駆者たち』中公叢書

36 ジョン・ロック『完訳 統治二論』岩波文庫

37 岡部牧夫『海を渡った日本人』日本史リブレット

38 鶴見俊輔『限界芸術論』勁草書房

39 田中芳樹夏の魔術講談社文庫

40 堀田善衛『ミシェル 城館の人 第一部』集英社文庫

41 マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』ハヤカワ文庫

42 くらもちふさこ天然コケッコー』1 集英社文庫

43 朝尾直弘『日本近世史の自立』校倉書房 

44 『竹宮惠子SF短篇集3 殺意の底』中公文庫コミック版

45 吉澤誠一郎『シリーズ中国近現代史1 清朝と近代世界』岩波新書新赤版

46 清岡卓行アカシヤの大連講談社文芸文庫

47 木村靖二『第一次世界大戦ちくま新書

48 牧原憲夫『シリーズ日本近現代史2 民権と憲法岩波新書新赤版

49 吉田裕『現代歴史学と戦争責任』青木書店

50 青木正美『古本屋五十年』ちくま文庫

51 四方田犬彦『ソウルの風景』岩波新書新赤版

52 竹前栄治『占領戦後史』同時代ライブラリー

53 田尻宗昭『四日市・死の海と闘う』岩波新書青版

54 長井勝一『ガロ編集長』ちくま文庫

55 池澤夏樹『読書癖』1 みすず書房

56 松沢弘陽『近代日本の形成と西洋経験』岩波書店、1993年

57 アンドルー・ゴードン『ミシンと日本の近代』みすず書房

58 ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』上 岩波書店


第1期 松本清張ゼロの焦点』カッパノベルズ

第2期 なし

第3期 村井吉敬『エビと日本人』岩波新書新赤版

第4期 桜井英治『贈与と歴史学中公新書

恐るべき三笠宮

ぼけっと小西四郎・遠山茂樹編『服部之總・人と学問』日本経済評論社、1988年を眺めていたら、没後30年集会で今年亡くなった三笠宮が日本近代史研究会とのかかわりや服部之総との付き合いを振り返った発言の中で、

私なんか立場上非常に冷たいお付き合いが多いのでございますけれども、それだけに服部先生、また周囲の方々とのお付き合いというのが、なんともいえない温かい楽しい思い出だった事を記憶しております(同書、111頁)


とまで語っていて、「赤い皇族」と揶揄されるだけのブラックユーモアだなあと感じたのだった。歴史研究者として紀元節批判を公表する程筋を通した三笠宮自身にとっては、これくらいの発言はむしろ自然だったのかもしれないけれど。

第4期積読本順位戦

単なる積読本を何となく並べて、将棋の順位戦風にしてみただけのリスト。現実の順位戦は何とも歯がゆい事態になっているけれど…


A級 挑戦1冊、降級2冊(読了本が出たら、1冊)

挑戦中 桜井英治『贈与の歴史学中公新書


1 前川恒雄『移動図書館ひまわり号』夏葉社

2 『丸山眞男集』第3巻 岩波書店

3 荻原魚雷『閑な読書人』晶文社

4 阿部謹也『北の街にて』講談社

5 齋藤純一『政治と複数性』岩波書店

6 丸山眞男『自己内対話』みすず書房

7 保立道久『ブックガイドシリーズ基本の30冊 日本史学』人文書院

8 鹿野政直『近代日本の民間学岩波新書黄版

9 猪谷千香『つながる図書館』ちくま新書

10 家永三郎『太平洋戦争』岩波現代文庫


B級1組 昇級2冊、降級2冊(Aからの降級1の場合1)

1 市村弘正『小さなものの諸形態』平凡社ライブラリー

2 吉沢南『個と共同性』東京大学出版会

3 岡田暁生『音楽の聴き方』中公新書

4 米澤嘉博『戦後少女マンガ史』ちくま文庫 

5 ガイリンガー『ブラームス』芸術現代社

6 岡崎武志『貧乏は幸せのはじまり』ちくま文庫

7 『岩波講座日本歴史 近代3』岩波書店 

8 遅塚忠躬『史学概論』東京大学出版会

9 黒羽清隆『十五年戦争史序説』三省堂

10 プラトン『国家』上 岩波文庫

11 『市民の図書館』増補版 日本図書館協会

12 『「慰安婦」問題を/から考える』岩波書店

13  柴田三千雄『近代世界と民衆運動』岩波書店



B級2組 昇級2冊、降級2冊

1 加藤周一『高原好日』ちくま文庫

2 棚橋光男『王朝の社会』小学館ライブラリー

3 網野善彦『蒙古襲来』上 小学館ライブラリー

4 丸山眞男『現代政治の思想と行動』未来社

5 竹宮恵子風と木の詩』1 白泉社文庫

6 米澤嘉博『戦後SFマンガ史』ちくま文庫

7 ※『中井正一評論集』岩波文庫

8 吉見義明『焼跡からのデモクラシー』上 岩波現代選書

9 ※藤井忠俊『国防婦人会』岩波新書黄版

10 『長谷川如是閑評論集』岩波文庫

11 藤田省三久野収鶴見俊輔『戦後日本の思想』岩波現代文庫

12 勝俣鎮夫『一揆岩波新書黄版

13 ルービン『図書館情報学概論』東京大学出版会

14 近藤成一『シリーズ日本中世史2 鎌倉幕府と朝廷』岩波新書新赤版

15 萩尾望都トーマの心臓小学館文庫

16 大島弓子『夏の終わりのト短調白泉社文庫

17 安丸良夫出口なお』朝日選書

18 森政稔『変貌する民主主義』ちくま新書

19 大谷正『日清戦争中公新書

20 上野英信『追われゆく坑夫たち』岩波新書青版

21 渡辺京二北一輝ちくま学芸文庫

22 千野栄一プラハの古本屋』大修館書店

23 竹宮恵子風と木の詩』2 白泉社文庫

24 藤井譲治『シリーズ日本近世史1 戦国乱世から太平の世へ』岩波新書新赤版

25 ※近藤ようこ『水鏡綺譚』ちくま文庫

26 ※大島弓子『バナナブレッドのプディング白泉社文庫

27 ※柄谷行人『世界史の構造』岩波現代文庫

28 良知力『マルクスと批判者群像』平凡社ライブラリー

29 上野修スピノザ『神学政治論』を読む』ちくま学芸文庫

30 ※荒川章二『軍隊と地域』青木書店

31 ※逸村裕・竹内比呂也編『変わりゆく大学図書館勁草書房

32 ※『加藤周一セレクション』5 平凡社ライブラリー  

33 ※竹宮恵子風と木の詩』3 白泉社文庫 



C級1組 昇級2冊、降級点7冊 降級3冊

1 木畑洋一『二〇世紀の歴史』岩波新書新赤版

2 長尾真『電子図書館』新装版 岩波書店

3 『池田理代子短篇集』1 中公文庫コミック版

4 川崎良孝『図書館の歴史 アメリカ篇』日本図書館協会

5 鹿野政直『歴史のなかの個性たち』有斐閣

6 『世界の文学新集17 戦争と平和1』中央公論社

7 ※池内敏『竹島中公新書

8 ハシェク兵士シュベイクの冒険』1 岩波文庫

9 吉澤南『ベトナム戦争 民衆にとっての戦場』吉川弘文館

10 戸坂潤『日本イデオロギー論』岩波文庫

11 マックス・ヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』岩波文庫

12 古関彰一『日本国憲法の誕生』岩波現代文庫

13 山内志朗『普遍論争』平凡社ライブラリー

14 佐藤進一『古文書学入門』新版 法政大学出版局

15 ※フィッツジェラルドマイ・ロスト・シティー』中公文庫

16 中勘助銀の匙岩波文庫

17 ※宮内泰介・藤林泰『かつお節と日本人』岩波新書新赤版

18 高見順『敗戦日記』文春文庫

19 『日本残酷物語』1 平凡社ライブラリー

20 ※小川徹ほか編『公共図書館サービス・運動の歴史』1 日本図書館協会

21 ※広田照幸『ヒューマニティーズ教育学』岩波書店

22 大岡昇平ミンドロ島ふたたび』中公文庫

23 安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』青木書店

24 二宮宏之『マルク・ブロックを読む』岩波書店

25 小田実『「難死」の思想』岩波現代文庫

26 芝健介『武装SS』講談社選書メチエ

27 本田和子『異文化としての子ども』ちくま学芸文庫

28 ※内田義彦『社会認識の歩み』岩波新書青版

29 森武麿『集英社版日本の歴史 アジア・太平洋戦争集英社

30 鹿野政直『日本の近代思想』岩波新書新赤版

31 ※植村邦彦『市民社会とは何か』平凡社新書

32 宮地正人『日露戦後政治史の研究』東京大学出版会

33 黒田日出男『増補 絵画史料で歴史を読む』ちくま学芸文庫

34 『竹宮惠子SF短篇集2 オルフェの遺言』中公文庫コミック版

35 ※松本清張『或る「小倉日記」伝』新潮文庫

36 ※庄野潤三夕べの雲講談社文芸文庫

37 ※福永武彦『忘却の河』新潮文庫

38 ※マーティン・ジェイ『マルクス主義と全体性』国文社

39 ※前田愛『都市空間のなかの文学』ちくま学芸文庫

40 ※石母田正『歴史と民族の発見』東京大学出版会






C級2組 昇級3冊


1 大塚久雄『社会科学の方法』岩波新書青版

2 辻邦生『背教者ユリアヌス』上 中公文庫

3 橋川文三ナショナリズムちくま学芸文庫

4 江口圭一『十五年戦争研究史論』校倉書房

5 永原慶二『日本の歴史10 下剋上の時代』中公文庫

6 永原慶二『新・木綿以前のこと』中公新書

7 牧原憲夫『客分と国民のあいだ』吉川弘文館

8 ウンベルト・エコ『論文作法』而立書房

9 原田敬一『シリーズ日本近現代史3 日清・日露戦争岩波新書新赤版

10 清水透『エル・チチョンの怒り』東京大学出版会

11 サラ・パレツキー『サマー・タイム・ブルース』ハヤカワ・ミステリ文庫

12 荒畑寒村『寒村自伝』上 岩波文庫

13 ベッケール・クルマイヒ『仏独通史 第一次世界大戦』上 岩波書店

14 鶴見俊輔久野収現代日本の思想』岩波新書青版

15 杉原達『中国人強制連行』岩波新書新赤版

16 野呂栄太郎『日本資本主義発達史』岩波文庫

17 加瀬和俊『集団就職の時代』青木書店

18 杉原達『越境する民 近代大阪の朝鮮人史研究』新幹社

19 ダール『ポリアーキー三一書房

20 永原陽子『「植民地責任」論』青木書店

21 四方田犬彦『漫画原論』ちくま学芸文庫

22 大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍文芸春秋

23 宮崎駿『本へのとびら』岩波新書新赤版

24 カレル・チャペック『ロボット』岩波文庫

25 ※小田実『何でも見てやろう』講談社文庫

26 佐藤忠男長谷川伸論』岩波現代文庫

27 安田浩『近代天皇制国家の歴史的位置』大月書店

28 高橋昌明『増補改訂 清盛以前』平凡社ライブラリー

29 小山力也『古本屋・ツアー・イン・ジャパン』原書房

30 澄田喜広『古本屋になろう!』青弓社

31 増田四郎『都市』筑摩書房

32 ※広井良典『コミュニティを問いなおす』ちくま新書

33 ※※ヘーゲル『歴史哲学講義』上 岩波文庫

34 ※斎藤美奈子『モダンガール論』文春文庫

35 ※土肥恒之『西洋史学の先駆者たち』中公叢書

36 ジョン・ロック『完訳 統治二論』岩波文庫

37 ※岡部牧夫『海を渡った日本人』日本史リブレット

38 ※鶴見俊輔『限界芸術論』勁草書房

39 ※※田中芳樹夏の魔術講談社文庫

40 ※堀田善衛『ミシェル 城館の人 第一部』集英社文庫

41 ※※マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』ハヤカワ文庫

42 ※※くらもちふさこ天然コケッコー』1 集英社文庫

43 朝尾直弘『日本近世史の自立』校倉書房 

44 ※宮地正人『国際政治下の近代日本』山川出版社

45 ※吉澤誠一郎『シリーズ中国近現代史1 清朝と近代世界』岩波新書新赤版

46 ※※清岡卓行アカシヤの大連講談社文芸文庫

47 ※※木村靖二『第一次世界大戦ちくま新書

48 ※牧原憲夫『シリーズ日本近現代史2 民権と憲法岩波新書新赤版

49 ※吉田裕『現代歴史学と戦争責任』青木書店

50 ※青木正美『古本屋五十年』ちくま文庫

51 ※※四方田犬彦『ソウルの風景』岩波新書新赤版

52 ※※竹前栄治『占領戦後史』同時代ライブラリー

53 ※村井章介『中世倭人伝』岩波新書新赤版

54 長井勝一『ガロ編集長』ちくま文庫

55 『竹宮惠子SF短篇集3 殺意の底』中公文庫コミック版

56 田尻宗昭『四日市・死の海と闘う』岩波新書青版

57 市村弘正『増補 「名づけ」の精神史』平凡社ライブラリー



第1期 松本清張ゼロの焦点』カッパノベルズ

第2期 なし

第3期 村井吉敬『エビと日本人』岩波新書新赤版

加藤寛治日記と1929年の美保関滞在について

早いもので1年が過ぎてしまったけれど、DG-Lawさんが松江市美保関の旅館で発見された、加藤寛治の1929年の美保関滞在について
(http://blog.livedoor.jp/dg_law/archives/52299815.html)。

「しかし,加藤寛治ってひょっとして美保関事件の時の滞在なのでは……昭和4年だから違うか。逆に言ってよく泊まりに来たな。」
とはDG-Lawさんの感想で、それを読んだ私も全く同じような感想だった。そもそも私の場合、美保関と聞いても連合艦隊の演習事故しか浮かばなかったし、美保関事件を最初に知った阿川弘之『軍艦長門の生涯』上、新潮文庫、1982年(http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN01498398艦隊これくしょんの波に乗ってしれっと復刊しないかな)では、事故時の連合艦隊司令長官である加藤と連合艦隊参謀長だった高橋三吉海軍少将については相当辛辣な書かれようであっただけに、つくづく良く泊まったものだという印象だった。なお高橋も責任を問われるどころか連合艦隊司令長官まで栄達しているのは、多少海軍に詳しい方ならご存知の話だろう。

そしてその記事のブックマークhttp://b.hatena.ne.jp/entry/blog.livedoor.jp/dg_law/archives/52299815.html加藤寛治の日記でこの時の記事が見つかるかも…などと書いておいて早1年、繰り返すがいい加減な当方である。

さて加藤の日記が収録されているのは『現代史資料』の続編、伊藤隆他編『続・現代史資料 5 海軍 加藤寛治日記』みすず書房、1994年(http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN11217247)であり、当方は以前関東大震災時の記述を読んだことが在ったので、半ばあてずっぽで1929年の記事も収録されているだろうなどと述べたのだが、実際には「震災日誌」の次が「昭和四年」なので、結構収録範囲ぎりぎりであった。

1929年の加藤寛治日記は、1日当たりの記述はごく短い日も多い。例えば加藤が軍事参議官から軍令部長に就任した前後である1月22日の日記でも、

一月二十二日 火 fine 8pm親任式、鈴木〔貫太郎、大将〕侍従長と仝時なり。夕大臣邸にて軍事参議官会。此日昭和六年度までの補充計画に付閣僚連署の覚書を示さる

といった程度(前掲伊藤他編、76頁。〔〕は同書の註)。

加藤が美保関に出発する直前の記事には、「妙高にて軍縮関係者を招待する。大成功。但し財部の演説笑ひ物となる。」という、御存知の海軍軍縮条約を巡る艦隊派対条約派の対立を思わせるような少々おっかない記事もあったりするけれども(同書、83頁)、概して感情を交えない淡々とした記述が続いている印象だ。

なお偶々見かけた、「一月十六日 水 fine」の記事の中で、
国技館に相撲を見る。大番狂はせにて近来なき熱狂。」(同76頁)の部分は、相撲通のDG-Lawさんには誰の取組みか判別可能なのかもしれないけれども、註なしには当方には全く判別不能な部分だった。同日の記事の後半部分には丁寧な註が付いていて、珍田捨巳侍従長が死去してその後任問題が起こり、関連して斎藤実、安保清種、山下源太郎の三大将らの名前が書かれていることが読み取れるのと対称的だった。

さて、美保関滞在を含む8月4日からの加藤の日記を追うと、 

八月四日 日
出雲大社(参拝)を経て美保湾の艦隊に向ふ。
八・四五P発宝塚に向ふ。

八月五日 月
宝塚ホテルに小休す。夕川口来る。小酌す。
一〇・五〇P発夜行、大社に向ふ。

八月六日 火
午前大社参拝。夕松江。皆美館に泊す。高橋市長大に歓迎す。鳥取と島根の紀念塔に一〇〇円宛寄附す。

八月七日 水
午前境と美保関の忠魂碑に参拝。美保関にて歓迎さる。衣笠に乗艦。

八月八日 木
九A出港、5S、4Sの戦技と夜戦を見る。

八月九日 金
未明栗田湾□直舞鶴に行き、一〇・五〇Aの汽車にて亀岡に行き、保津川を下り嵐山「ちどり」に晩餐を為す。一菊(久子)大につとむ。九・五〇P発帰京。財部、安保、竹下〔勇、大将、軍事参議官〕同行。

といった具合であった(同83頁)。

こうして見ると、やはり2年前に自身が強いた過酷な演習による事故については特に言及もなく、美保関での「歓迎」を記している。そして出雲大社と演習からの帰り道に、京都の嵐山で芸者だろうか、宴席を設けてお楽しみだったという、さすがmmkの海軍士官の世界といった感じの記述でいささか毒気を抜かれたというところである。

改めて宿泊場所に着目すると、実は美保関の福間館に加藤が滞在したことが明示された具体的な記述は、見当たらないことが分かる。宝塚のホテルに滞在した後、出発駅は明示していないが8月5日の午後10時50分発の夜行で出雲方面に向かっているのでこの日は車中泊、翌6日は出雲大社参拝の後夕方に松江市に到着し、「皆美館」という松江市のこちらも結構な文化人達が滞在したことのある旅館に宿泊したという記述がある。そうなると8月7日に、美保関の忠魂碑(日露戦争後建立のものだろうか)参拝の後で、「美保関にて歓迎さる」という記述の部分で滞在したのだろうか。

8月7日には既に「衣笠に乗艦」という記述があるので、素直に理解するならば7日は重巡洋艦衣笠の艦内に泊まったとも読めるけれども、翌8月8日の艦隊が午前9時の出発だったという点からすると、一旦衣笠に乗艦した後美保関にて宿泊したか、美保関の旅館には宿泊ではなく訪問時に滞在し休憩したか、のいずれかということになるだろうか。

またはっきりとは判読できないが、どうもDG-Lawさんの撮られた写真だと、加藤寛治の訪問は「昭和四年九月」と書かれているようだけれども、これは昭和四年八月であるべきところだろう。1929年9月には加藤は山陰方面を訪問していないし、1930年9月・1931年9月についても念のため確認したがそのような記述は存在しなかった。なお1930年9月はまさにロンドン海軍軍縮会議を巡る動きが活発な時期であり緊迫した記述も見られている他、1931年9月の後半には満州事変勃発に関連する記事もある。

以上、少なくとも加藤寛治の日記に当たる限り、加藤の1929年8月の美保関訪問は史料上も確かであり、美保関の旅館についても史料上は滞在か宿泊かははっきりしないがこれは宿泊と推測しても良いと思われるけれども、旅館に掲げる以上は9月ではなく8月とした方が良いのではなかろうか、という辺りで、1年も間が空いた割にさしたる考察もないこの小文を終えることとしたい。