映画メモ 2015.12-2016.02

・『007 スペクター』

 最近結構過去の作品の要素を詰め込んでいるなあ、とは思うところ。
 2作連続で最後が英国本土、それもロンドンというのはこれまた実は異色なのでは。
 敵が強いんだか間抜けなんだか…『ロシアより愛をこめて』の頃が一番強そうだった、というのはちょっとねえ。
 しかしレイフ・ファインズ演じるMは今作では随分と中間管理職というか前線指揮官となっているというか。『サンダーボール作戦』の時のように、00課総動員とならないのはむしろ不自然で、その内00要員同士の群像劇で1作作ってみても良いような。



・『ブリッジ・オブ・スパイ

 一見して、アベル大佐の派手さ皆無ながらも何とも言えない存在感がとても印象的だったので、舞台畑出身のマーク・ライランスが本作で注目されたというのは大いに納得。主演のトム・ハンクスより年下というのにはさすがに調べて驚いたものです。アカデミー賞助演男優賞にもノミネートされていて、いかにも助演男優賞の趣旨に合うような存在でした。
 にもかかわらず、予告編にもポスターにも一切ライランスが出てこない!というのは、どういう訳か。
 
 スピルバーグ監督の作品としては、長い割に構成がどうも。アベルの裁判からU2号事件、ベルリンの壁建設というのはそれぞれ少しずつ年単位で時期がずれている訳ですが、まるで1年の間に続けて起きたかのような印象を受けておやおやと。『シンドラーのリスト』に比べると、長さがいまいち活きていないような。

 CIAのいかにもいけ好かない感じは1950年代っぽくて良かったのと、最後の最後でドノヴァンが家族との再会ではなく自宅のベッドに突っ伏して寝てるという描写はまあ良かったのでは。

 しかしこの作品にジュースとポップコーンで臨んでスター・ウォ―ズにホットコーヒーを買い込んだ私は相当決定的な手順前後を犯したことに後悔したのだった。



・『スター・ウォーズ フォースの覚醒』

芳しくない評判は周囲からも聞いていたのだけれど、ああこれは確かにやってしまいましたなあと。
せっかくハリソン・フォードキャリー・フィッシャーをウン十年ぶりに起用してこれですかと。
マックス・フォン・シドーが仕事選ばないと言われるのも分かった気がしてしまう…。

別に新シリーズ3部作みたいにCGで登場人物がやたらと多ければ良いって訳でもないし、結局ブラスターの撃ち合いとXウィングの空中戦に徹するというのは、原点回帰でむしろ大歓迎でございますけれど、しかしそれにしたって設定と脚本はどうなっているんだいこれは。

それもダース・ベイダーもどきと帝国軍もどきがデススターもどきを操って、それに反乱同盟軍もどきがXウィングでデススター破壊作戦もどきで挑むって、ちょっともどきが過ぎますって。特に帝国軍もどきの、プロイセン以来のドイツ国防軍第一次世界大戦第三帝国を経てネオナチの私兵集団化したような感じにはうーんと。「新たなる希望」の、ダース・ベイダーの上役を演じたピーター・カッシングのような感じはもう期待出来んのでしょうか。

C-3POとチューイがそれっぽく出てくれたのは、これはもう無条件に肯定せざるを得ないけれど、それにしたってソロとルークのあの扱いもねえ…。

音楽はジョン・ウィリアムズの続投で、これはまあ良いとして、どうぜデススター攻防戦もどきを繰り返したのなら、「王座の間」の勲章授与シーンも再現して「王座の間とエンド・タイトル」でも流してくれていれば…あ、でもそうするとルークのシーンが浮くか…。

今回のウィリアムズのテーマ曲とエンディングの音楽は、結構マーラー交響曲第1番「巨人」の第4楽章辺りを意識したのかなあ、と勝手に素人は感じているのですが、いかがでしょうか。

結局私はエピソード4のデススター攻撃シーンがシリーズ最高だという程度しかこのシリーズには思い入れがないもので、これならば最初からエピソード4を観れば済んでしまいそうだなあという感想はぬぐえませんでした。