読んだ本・読んでいる本 8月から9月

読んだ本

 『地球へ』にも観られた一面なのかもしれないけれども、少年期や少年少女の集団を描いている点や(未来を扱った作品も含めて)どこか近代ヨーロッパを思わせるような歴史主義的な趣向が特色だと思う。
 

 一作目の『鉄道ひとつばなし』と比べると世界の鉄道に関する話が増えている点が目立つ。勿論一作目でもソウルの地下鉄事情などに関する話題が触れられており、私の勝手な印象では鉄道に関する本が「日本の鉄道」に関する本と「世界の鉄道」に関する本に分化しがちに見える中にあって、「日本の鉄道」を以ってして「鉄道」一般に置き換える発想と本シリーズは無縁であった。
 世界各地の鉄道に関する話の多くは著者自身の体験を基に構成されていて、このジャンルの話題が増えていることは著者自身の体験に基づいた話題の占める位置がより大きくなってきたことの表れなのかもしれない。イギリスでの鉄道体験が著者の鉄道に対する考え方に相当大きな変化を与えた旨が述べられている部分を読むとそんなことを感じさせられる。
 阪急と阪神、西武、福知山線などニュースで話題となった時事的な主題を歴史や思想から扱った話も一作目と変わらずに収録されている。

読んでいる本

久しぶりに改めて手に取って読み進めている。史料論の占める位置が比較的大きい。それにしてもヘロドトスアウグスティヌスといった高校でも言及される存在についてごく限られた分量で深い説明がなされているのにはさすがという気がした。