資料編 防衛省日報問題について 国会会議録の記録から

手持ちの材料はほぼ「国会会議録検索システム」http://kokkai.ndl.go.jp/ からです。


(0)まず0番として、2017年1月24日の共産党志位委員長の代表質問というものがございます。ここでは日報が破棄されたという問題がある、それについて「総理、日報を廃棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか、明確な答弁を求めます」という形で触れられているのですね。

 これに対する安倍晋三首相の答弁は、

 南スーダンPKOの日報についてのお尋ねがありました。
 御指摘の日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています。
 なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しています。


(1)本格的な国会質疑の開始は、2017年2月8日衆議院予算委員会での民進党小山展弘議員による質問と言って良いかと存じます。小山議員の質問の主軸は南スーダンPKO派遣の前提となる安倍政権の認識批判、つまり「戦闘行為」を武力衝突と扱うことでPKO5原則を無理に適用しているのではないかという点にあったのですが、その辺りの議論はさておいて、ここで発見された日報自体に「戦闘」という語があるではないか、という疑問が提示され、それに関連して文書発見の経緯が問われております。

これに対する稲田朋美防衛大臣の答弁は、

昨年の七月の南スーダンの首都ジュバにおける衝突事案の期間中に作成された南スーダン派遣施設隊の日報については、情報公開法上の開示請求を受け、日報の作成元である派遣施設隊及び報告先の中央即応集団司令部を中心に探索した結果、既に廃棄をしていることから、文書不存在につき不開示と決定をしたものです。
 開示請求に係る行政文書は、請求から起算して三十日以内に速やかに特定する必要があります。開示請求を受けた防衛省としては、限られた期間の中で当然、陸上自衛隊の日報を作成した部隊や報告先の部隊を中心に日報が保管されているかどうかを探索したところですが、当時防衛省として文書を探索し切れなかったことに関しては、十分な対応ではなかったと認識をいたしております。
 当該日報については、その後も複数の開示請求がなされたことを踏まえ、私から本当に日報がないのかしっかり探索するよう指示をしていたところ、河野太郎議員からも再度探索すべきとの御指摘を受け、私からもさらに探索するように指示し、再度日報にアクセス可能な部局に範囲を広げたところ、統合幕僚監部において日報が電子データとして見つかった次第でございます。
 防衛省としては、再度同種の開示請求がなされれば、日報が見つかったことを踏まえ適切に対応したいと考えております。

(2)その翌2月9日、今度は同じ予算委員会において、民進党後藤祐一議員からこの日報の問題について更に質問が為されました。

○稲田国務大臣 私からは十二月十六日に再度探索するよう指示を出しまして、今御指摘のとおり、発見されたのが十二月二十六日、私宛てが一月二十七日でございます。
 この期間が長過ぎるということについてでございますが、統合幕僚監部においては、派遣部隊等と不開示となった事実関係を確認し、また、これらの資料を最終的に開示するに当たり、不開示とすべき箇所の判断を行っており、これらに時間を要したものであって、隠蔽の意図があったとの一定の御指摘は当たりません。
 また、一度破棄したと説明した資料が発見されたことを明らかにする以上、防衛省としては、その資料の内容をしっかりと国民に向けて説明する必要があり、私に説明を上げるに当たっても一定の準備は必要であったというふうに思います。
 他方、私の指示、十二月十六日、委員が御指摘になったとおりですけれども、資料が見つかったということ、事務方から見つかったという事実自体について速やかに報告が上がるべきであったという御指摘はそのとおりだというふうに思いますので、その点は関係部署に対して指導したところでございます。


(3)2月14日、同じく衆議院予算委員会民進党辻元清美共産党笠井亮両議員と再び後藤議員とがこの問題で質問を行っております。

辻元質問に対しては、

○稲田国務大臣 まず、破棄したこと自体は法律違反ではありません。
 しかしながら、私も、あるんじゃないかと思って捜索を指示いたしました。そして、あったら必ず公開しろ、探して、あれば必ず公開しろということで指示をしたわけであります。そして、一カ月後の一月二十七日に報告を受けた。この経過については、しっかりと事実関係を調査したいと考えております。

○稲田国務大臣 まず、隠蔽する意図は全くありませんでした。そして、隠蔽する意図がないから今開示しているんじゃないでしょうか。ですから、隠蔽を組織ぐるみでやったということについて、私は否定します。
 しかしながら、なぜ、一カ月間、これだけ時間がかかったのか、そして、今、総理の答弁がどうだったのかということをおっしゃいましたので、しっかりと事実関係は調査いたしますということを申し上げております。

後藤質問に対しては、

○稲田国務大臣 御指摘の不開示決定については、決定の取り消しを求めて行政不服審査法に基づく審査請求が提起されており、この審査請求につきましては、これを認容することとし、二月九日木曜付で不開示決定を取り消す裁決を行ったところでございます。

○稲田国務大臣 まず、廃棄は、陸上自衛隊の文書管理規則にのっとって、目的を達成した後に廃棄することとなっております。それに従って、これまでに陸上幕僚監部からは派遣施設隊及び中央即応集団司令部における業務実態について報告を受けており、日報は、中央即応集団司令部への報告後に用済みとなり破棄していたことを確認いたしているところであります。
 そして、紙媒体については四日以内ぐらいには破棄をしておりますが、電子データについて、今、いつ破棄したかということをしっかりと調査しているところでございます。正確に報告を受けた上で、適切な形で報告させていただきます。

笠井質問に対しては、

○稲田国務大臣 まず、日報に関しては、陸上自衛隊の文書管理規則によって、用済み後廃棄となっております。したがって、その規則に従って廃棄をしたということでございますが、私自身も、日報を本当に廃棄したのか、本当に全然残っていないのかということで、指示をして、そして、あった場合には必ず公開するようにということを申し上げました。
 また、この日報を隠蔽する意図も、また内容について隠蔽する必要のないものであったことも、そのとおりでございます。そういう意味において、日報が見つかってから一カ月間、私のところに報告が上がってこなかったことは非常に問題でありますし、また、開示請求が来たときに十分に捜索できなかったことも問題であります。
 また、委員を初め皆様方から指摘されているように、第一次資料の日報を用済み廃棄、そういう規則にしていることはどうなのかという指摘もあります。私としても、しっかりとその目的を達成するというか、ある程度の期間はしっかりと置いておくべきだというふうに考えているところでございます。

○笠井委員 国会議員に対して防衛省が明らかに事実と違う虚偽の説明をした、これは隠蔽以外の何物でもありません。
 稲田大臣は、日報にアクセス可能な部局に範囲を広げて探索したところ、統合幕僚監部で見つかったとこの間も答弁、説明をされておりますが、そうやって範囲を広げて探索をしないと出てこないものなんですか。

○稲田国務大臣 日報を作成した派遣部隊、さらにはその報告先であるところの部隊において破棄をされたということでありますので、それからさらに範囲を拡大して捜索したということでございます。

○笠井委員 今回、当初は廃棄したと言っていた日報の電子データでありますが、実はそれが統合幕僚監部で発見されたというのが説明でありますけれども、その電子データは教訓センターデータベースというところにあったのではないですか。

○稲田国務大臣 それは統幕の中にございました。

(4)2月17日にも衆院予算委員会において、辻元・後藤両議員の質問が行われました。また2月20日にも民進党升田世喜男民進党長妻昭共産党畠山和也、後藤各議員がこの問題を取り上げています。
2月17日の後藤質問に対して

○稲田国務大臣 先ほどの答弁を少し補足しますと、派遣施設隊の日報それからCRFの日報は短期間で用済みになって、破棄される文書については規則上、破棄した期日を記録することとはされておりません。その上で申し上げれば、文書管理者である中央即応集団司令部防衛部長ないしは派遣施設隊長のもとで適切に廃棄された、破棄されたとの報告を受けております。
 その上で、今御指摘の、統幕において一次要員から第九次要員までの日報を保管しているのではないかということを、委員の御質問を受けまして確認いたしました。そして、南スーダンへの部隊派遣の開始以来、日報を電子データとして保存していることを確認したところでございます。

2月20日の升田質問に対して

○稲田国務大臣 まず、今回の南スーダンの派遣部隊がつくっていた日報ですけれども、これは用済み後破棄という規定になっていて、その規則に基づいて破棄をされておりました。
 しかしながら、私はその報告を聞いたときに、自分の経験則、それは弁護士としてもそうですし、一般国民としても、それはどこかにあるんじゃないのかと指示をして、どこかにあるんだったら、早く探して、そして公表しなさいよと。それが、委員がおっしゃる、怖かったから言えなかったということを指されたのかと思いますが、そういうことはないと思います。
 私はそう言って、そして言われた方も見つけて、十二月二十六日にあった。あったので、それはすぐ公表しなきゃいけない、大臣がすぐ公表しろということで、そこからさまざまな作業をして一月二十七日になって私に報告したということでございますけれども、でも、私も、委員がおっしゃるように、あったという事実自体をなぜ早く伝えなかったのか、まずあったという事実を早く伝えるべきであったということは、厳しく指導して注意をしたところであります。


2月20日の畠山質問に対して

○稲田国務大臣 捜索が不十分だったことは確かですが、その際、開示請求を受けて捜索したのは、原本をつくっている派遣施設隊と、そしてその報告先であるところの中央即応集団司令部であったということでございます。

(5)2月22日の予算委員会第一分科会、そして2月23日の予算委員会と、後藤祐一議員による質問が続きました。また2月23日の予算委員会第一分科会では共産党本村伸子議員、升田・辻元両議員も再度質問を行っています。この段階では、文書の発見元とされた統合幕僚監部にも12月に照会がいっていたことの妥当性という問題も問われていました。

2月22日、予算委員会第一分科会

○稲田国務大臣 冒頭、後藤議員から謝罪がございました。そして、その内容、厳しく指導して女性職員が威圧と受けとめたと言われたわけですけれども、先日の会見、読ませていただいても、報告を受けている内容とかなり乖離をいたしております。そして、極めて不適切な言動であったということについて遺憾に思います。この場で具体的にそのことについてこれ以上は申しません。立ち入りません。
 その上で、今のお尋ねですけれども、日報の開示請求に関し、防衛省では、日報作成元の派遣施設隊、報告先の中央即応集団の司令部で日報を探したけれども、廃棄済みのため不存在だった。かかる捜索結果を受けて、幕僚長から不存在のため不開示との上申がなされ、昨年十一月二十八日、大臣官房から統幕に意見照会が行われました。
 統幕参事官付では、日報の作成元である陸上自衛隊が廃棄済みのため不存在とした判断について意見の有無を問われ、政策調整官まで了解をとり、意見なしと回答をいたしました。このとき関与した者は、当該文書について、統幕が報告先でもなく、保存せよとの業務上の指示も受けていなかったことから、開示請求を受けた日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったものです。
 私は、以上のような報告を踏まえ、二十日の衆議院予算委員会で、統幕が回答した時点で当該日報が統幕にあることを知っている人はいない旨をお答えいたしたところです。
 そして、この意見照会に対し、統幕参事官付政策調整官は、部下職員から照会文書の提示を受け、口頭で意見なしとの回答を了解しました。この過程において、文書は作成されておりません。
 なお、本件については、政策調査官の了解をもって回答したものであり、当該照会について統幕参事官本人は承知していませんでした。
 通常、この種の過程は、参事官付の次席である政策調査官を含め、数名の職員がかかわると考えております。

2月23日、予算委員会

○稲田国務大臣 情報開示請求、一旦不開示にしたものを後で探して公開した、それによって全体的に趣旨に沿ったものになっております。
 そして、私はもちろん、今回の、統幕参事官付に七月の日報が保存されているかを確認していなかったこと、これが不十分であったことは認めております。そして、今後の課題として、やはりしっかり探す、捜索範囲を広くする、今回のことを教訓に生かすということを申し上げているわけです。
 しかしながら、本件においては、捜索を指示し、捜索し、公表をいたしております。そういう中で、今後の課題として、今委員が御指摘になった点も生かしていくということを申し上げているわけでございます。

2月23日、予算委員会

○稲田国務大臣 まず、本件は隠蔽じゃないんです。隠蔽じゃないからこそ公表しているんです。しかも、一次隊から全部の書類を今公表しようということで準備しているんです。(後藤(祐)委員「それは私に言われて出しただけじゃないですか」と呼ぶ)違いますよ。
 私は、聞いたときに、報告を受けたときに、これはどこかにあるんじゃないの、とにかく徹底的に捜索して、あるものは全て公表しましょう、それと、やはりこの日報というものが一年未満廃棄でいいかどうか、これはしっかりと検証しましょうということを申し上げたところであります。
 したがいまして、本件は隠蔽ではないんです。確かに不十分だったところはあるかもしれません。それは将来に対して生かしていきますけれども、隠蔽ではないということを申し上げたいと思います。(後藤(祐)委員「全く答えていない。調べる義務があったのかと聞いているんです。質問を忘れちゃっているんですよ。時計をとめていただけますか」と呼ぶ)

2月23日、升田議員に対する予算委員会第一分科会での答弁

○稲田国務大臣 今委員御指摘になったように、日報を探索して、発見されて、そしてそれを私に報告するまで一カ月がかかったということは、余りにも時間がかかり過ぎるということで、私も関係部署に対して指導、注意はしたところです。
 その上で、委員が、一カ月もかかったということは、防衛省と私との間のコミュニケーションがうまくいっていないのではないかというお尋ねですけれども、今回、十二月十六日に、日報が文書不存在のため不開示である、文書を破棄したこと自体は規則に基づいているんですけれども、適法なんですが、それで破棄されたという報告を受けて、私は、自分の経験則、弁護士としても、一国民としても、それは、電子データはどこかにあるんじゃないの、とにかく徹底的に探して、そしてあれば、もう全て公表しましょうということを言って、そしてそれが発見されて公開するに至った。そういう意味では、私は、職員との間のコミュニケーション、すなわち、これは探して公表しましょうという中で行われたというふうに思っております。
 また、現在に至るまで、事務方から、そういった経緯、問題点、しっかりと報告をされて、これを踏まえて再発防止に向けた指示を行うなど、コミュニケーションは円滑に行われているところであります。
 しかしながら、今後、コミュニケーション、委員が御心配をされるのは、やはりそういうものがないと、委員の御地元の派遣部隊の様子というものが私のところに上がってこないんじゃないかという心配をされているんだと思います。そういう意味からも、やはりしっかりとコミュニケーションをとる。そして、私に上げるに当たって、万全の準備をしてから対応しようと過度に完璧主義に至るんじゃなくて、節目節目で迅速に要点を報告すべく意識を変えていこうということも確認をしているところであります。
 二十五万人の自衛隊員と緊密な関係を築く、そして、派遣隊を送り出されている家族の皆さん方に、今回のこういったことで無用な不安を今後与えないように、しっかりと指導もし、またコミュニケーションもさらに緊密なものになるように、私自身も努力してまいりたいと考えております。

2月23日、辻元議員への予算委員会第一分科会での答弁

○稲田国務大臣 何度もお答えをいたしておりますけれども、私は、私の指示でこの日報が出てきて、公表されたということは評価しています。
 しかしながら、何が問題か。やはり、指示をして見つけるまで、見つけてから公表するまで一カ月もかかってしまったということは非常に問題であるし、そこは改善していく。
 さらには日報の取り扱いですね。日々施設隊がつくっている日報を用済み、破棄としてきた。これは、南スーダン施設隊を派遣したのは民主党政権で、そのときからずっとそうですけれども。でも、この日報を用済み、破棄にしている取り扱いがどうなのか、ここも問題だと思います。

(6)ところが3月15日、統幕の他に陸自でも同様の日報が保管されていたこと、そして保管していたことを隠した上でデータ消去を行っていたことが報道され、更にその翌日には陸自トップの陸上幕僚長らもこれに関与していたことが報じられました。

3月16日の衆議院安全保障委員会では、珍しく自民党中谷真一議員もこの報道について語りながら与党側から質問を行っています。それへの答弁。

○稲田国務大臣 開示請求されておりました昨年七月分の日報については、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸上幕僚長から私に対し、廃棄済みのため不存在との上申を受けていたところです。
 その後、私の指示のもと、防衛省がみずから再探索し、当初の探索範囲でなかった統合幕僚監部にて発見し、みずから公開したところであり、これまで、情報公開への対応としては適切であったと繰り返し申し上げてまいりました。
 他方、今般の報道を受けまして、まずは陸上幕僚長に事実関係の確認を指示いたしましたが、本件につきましては、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要と考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を昨日指示したところでございます。また、陸上自衛隊には、本件特別防衛監察の実施に全面的に協力させることとしております。今後、できるだけ早く監察結果の報告を求めたいと考えています。
 大臣直轄の防衛監察本部により徹底的に調査の上、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたいと考えております。
 最後に、日報のデータを消去するよう指示が出されたとの報道がなされている点でございますが、私は、昨年十二月に統幕からの報告を受けた際、日報を改めて探索し、公開するよう指示をしており、破棄を指示するようなことは断じてありません。
 本件に関しては、防衛監察本部の特別防衛監察の中で徹底的に事実関係を調査させた上で、しっかりと、文書管理のあり方、また、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任でしっかりと改善していきたいと考えております。

民進党今井雅人議員とのやり取り。

○今井委員 民進党今井雅人でございます。
 きょうは、委員外でございますけれども、質問の機会をいただきましたことを皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 きのう質問の準備をしているときに驚くべき報道を目にしたんですけれども、先ほどもちょっとあった、話題が上がったそうですが、御存じない方もいらっしゃると思いますので、NHKの報道、文字に起こしてきましたので、改めてここで読ませていただきます。
 南スーダンで大規模な武力衝突が起きた際のPKO部隊の日報について、防衛省は、陸上自衛隊が破棄し、その後、別の部署で見つかったと説明していますが、実際には陸上自衛隊が日報のデータを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。さらに、これまでの説明と矛盾するとして一切公表されなかった上、先月になってデータを消去するよう指示が出されたと幹部は証言しています。
 南スーダンでPKO活動に当たる自衛隊の派遣部隊が日々の状況を記した日報について、防衛省は、現地で大規模な武力衝突が起きた去年七月の記録を情報公開請求されたのに対し、部隊の指揮に当たる陸上自衛隊の司令部が既に破棄していたとして、昨年十二月、日報は存在しないと回答しました。
 その後、再調査が行われ、防衛省は、陸海空の各自衛隊でつくる統合幕僚監部に保管されていたことがわかったと先月七日に発表しましたが、その一方で、陸上自衛隊には存在しないと説明しています。
 ところが、実際には、陸上自衛隊が日報の電子データを一貫して保管していたことが複数の防衛省幹部への取材でわかりました。それによりますと、陸上自衛隊に電子データがあることがわかったのはことし一月中旬で、部隊を指揮する司令部の複数のコンピューターに保管されていました。このことは、陸上自衛隊の上層部に報告され、一旦は公表に向けた準備が進められたということです。このときの方針は、陸上自衛隊で日報のデータが見つかったことを認めた上で、隠す意図はなく、今後公表するという内容だったということです。
 しかし、その後、これまでの説明と矛盾するため外部には公表しないという判断になり、さらに、先月になってデータを消去するよう指示が出されたと幹部は証言しています。
 防衛省幹部の一人は取材に対し、日報の電子データは陸上自衛隊の司令部もダウンロードし、保存していました、しかし、今さら出せないということになり、発表しないことになった経緯があります、今現在、司令部のデータは消去されたと聞いていますと証言しています。
 驚くべき証言ですね。完全な隠蔽です、事実だとすれば。
 稲田大臣はこれまでずっと、自分が指揮して、日報がないか調査しろ、調査しろというふうに私が言ってきたというふうに豪語されておられましたけれども、一体何を調査してこられたんですか、これまで。こういう話はこれまで出てこなかったんですか。

○稲田国務大臣 開示請求されていた七月分の日報については、陸上自衛隊の派遣施設隊及び中央即応集団司令部において探索を行った上で、陸幕長から私に対し、廃棄済みのため不存在と上申を受けておりました。その後、私の指示のもとで防衛省がみずから再探索し、当初の探索範囲でなかった統合幕僚監部で発見をして、みずから公開したところであって、これまで、情報公開への対応としては適切であったと申し上げてきたところでございます。
 他方、今委員が読み上げられた報道を受けて、まずは陸上幕僚長に事実関係の確認を指示しましたが、報道されている内容が仮に事実であるとするならば、防衛省自衛隊に対する国民の信頼を大きく損ねかねないものであることから、本件については、私の責任のもと、陸上自衛隊から離れた独立性の高い立場から徹底した調査を行わせることが重要と考え、元検事長を長とし、現役の検事も勤務する、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察の実施を指示したところであります。陸上自衛隊には、本件特別防衛監察の実施に全面的に協力させることといたしております。
 大臣直轄の防衛監察本部により徹底的に調査の上、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任で改善していきたいと考えております。

同日、後藤議員とのやりとり。

○後藤(祐)委員 つまり、昨年七月の日報があったのかどうか、いつまであったのかどうかという、予算委員会で膨大な時間をこれによって費やしてしまった、その答弁が変われば予算委員会の時間を返してほしいという話になるものについて、切り離して、早くここに報告することはしないという意味の答弁だと受けとめました。
 大臣、これは予算委員会を何だと思っていらっしゃるんですか。予算委員会の時間をあれだけかけたことについて、大臣の責任、どう考えるんですか。大臣、もしこの二月十四日及び二月十七日の答弁が変わるという結果になった場合には、大臣を辞職されるということでよろしいですか。

○稲田国務大臣 私の責任において、徹底的に事実を解明した上で、再発防止、さらには文書の保存のあり方、そして、委員が何度も御指摘になっているところの、仮に自衛隊防衛省の隠蔽体質なるものがあるとすれば、そこは徹底的に事実を解明した上で改善をしていくということでございます。

同じく3月16日に共産党赤嶺政賢議員も質問を行い、翌3月17日にも後藤・笠井議員、民進党寺田学議員らが再度質問を行っている。これ以降にも、3月21日、3月23日に関連質疑が行われた。