『平和をつくる原理 小田実全集 評論第5巻』

初出は小田実『平和をつくる原理』講談社、1966年で、内容的には1969年に出版された新版が収録されている。

もともとは雑誌や新聞等に掲載された文章を編んだもので、講談社版全集のソフトな印象の表紙と活字組に合っている。ただ、400頁近いので、やはりカヴァーだけはハードカヴァーの方が痛まなくて良かったような気もしてしまう。

1965年前後-ベトナム戦争が本格化し、「戦後二十年」の中で戦争と平和が論じられ、「明治百年」を巡る歴史が問われていた時期-の著者の思考を反映している。平和論と結びつく形で当然著者の戦争体験、歴史認識等が取り上げられている他、アメリカ、沖縄、戦後文学、ギリシア哲学といった著者を巡る要素が色々と詰まっている。