手塚治虫『火の鳥 鳳凰編』

現在一番入手しやすいのは、手塚治虫全集版か、角川文庫版か、どちらかしら。

黎明編・未来編・ヤマト編・異形編・復活編は繰り返し読んだ割に、シリーズ中屈指の傑作と称される鳳凰編は、実は15年ぐらい前に吉備真備失脚辺りまでしか読んだことがなかったので、今回通読。

我王と茜丸という二人の人生が交差して、次第に両者が善悪の枠を越え変転していくという軸がはっきりしていて、そこに天平期の鎮護国家が絡んでくるという構成がさすが。

芸術と政治という問題も真正面から扱った作品として、取りあえず東京オリンピックの設計競技やロゴの関係者は読みましょう、と2015年の読者としては思わざるを得なかった1冊。