谷川史子『清々と』3 

少年画報社の漫画本は、カヴァーをめくると設定資料だったりカバーとは別のイラストだったりが描かれているという、ちょっとした豆知識を知ったという。

しかしまあ前の1・2巻の記事からはや3年かあ、と思う。4巻で完結とのことで、4年ぶりの3巻は全く以て「起承転結」の転といったところ。

文化祭の話から進路話、主人公の幼馴染と先生の元恋人の登場で、果たして主人公と教師の今後の関係や如何に、というところまで。

話が一本化していく中で、これまで登場してきた脇役たちは文字通りの「脇役」に収斂していくのが、少し寂しくもあり、また女子高という場の設定の活用という点でも、少し勿体ないようでもあり…と書いていてふと浮かんだのは、今まで谷川作品を見つけて読むたびに短編か連作短編で中長編でないことは余り意識してこなかったのだけれど、やっぱり短編か読み切り短編に強いからなのかな、という点。設定や登場人物を次々繰り出す側面が良いのだけれども、逆に長編としての展開という別の問題があるのかもしれないという、何となく仮説のようなものを抱いたりした。

それから後はごく単純に、これだけ台詞のネームが多い作品だったかなあ、と感じたりした。その割にそんなに作中の会話の量が多いとも感じない点も含めて、何となく気になったところ。

ちなみに115頁、図書館司書の資格に関する説明は、
1)公立図書館・国立国会図書館・学校と色々な種類の図書館に司書が居ること
2)人気の割に採用が少なく、採用の形態が異なること

までの説明は良いとして、
3)学校図書館に関係する資格として「司書教諭」があるのは事実だが、専任の司書教諭が絶対的に少なく、図書館司書資格を有する学校司書が学校図書館に勤務している場合が多い以上、公共図書館の司書と同列に司書教諭を挙げるのはいかがなものか
4)様々な種類の図書館があるよ、から「全ての資格を」「ぜ、全部!」という一連の流れは、いや公共図書館の図書館司書資格と、前述の司書教諭の2つしか法的な資格はないのでは、という点でやはりどうなのかなあと。国立国会図書館大学図書館専門図書館はそもそも司書資格の有無が採用要件に入っていないような。公共図書館以外でも、図書館司書資格がとりあえず共通の資格となっている現状はともかく。

と、結構問題ありの記述なので、司書志望の高校生に対する導入としてその説明はどうなんでしょう、「司書」の国分寺さん。

これも蛇足ながら、司書教諭について結構リアリティのある話も含まれた作品としては玉川重機『草子ブックガイド』講談社がある。また埜納タオ『夜明けの図書館』双葉社も、公共図書館の「レファレンスサービス」に重点を置いた、司書に関する作品。