読んだ本 良知力『青きドナウの乱痴気』

  • 良知力『青きドナウの乱痴気』平凡社、1985年 229p 234.6

 概念が余り登場しない文章。理論や構造ではなく細部に亘る具体の記述から話は始まる。だからこそ「プロレタリア」とか「市民」と云った語が使用されて表現される時の重みが違う。
 描かれるのは1848年ウィーンの人々だが、ウィーンや1848年の革命という対象に限定されないだけの深さがある一冊。奥付の著者の経歴と発行年月日を眺めると何とも言えない。