読み終わった本

前半はバトル・オブ・ブリテンが一つのクライマックスで、後半は戦後構想やソ連との外交上の対立・折衝などの政治色が濃かった印象。冷戦と関係してくるという点でもポーランドギリシアなどについても戦中からの流れを押さえる必要が在るな、とは思わされたところ。それからチェコスロヴァキアの軍事力についてチャーチルミュンヘン会談時では相当の物だったと観ているのは何となく興味深い。
 しかしアメリカから結構反対されてこの回想でも政治的意図の有無について相当強く反論しているところを見ると、イギリスの地中海・バルカンでの軍事作戦を拡大しようとする姿勢が戦後のイギリスの支配政策と関わっているという見方は相当強かった様子なのを実感。
 
 個人的には戦争指導を経営論的な側面からのみ捉えることにはあまり賛同はしないのだけれども、経営の一種として戦争指導を捉えたい人にとっても、イギリスの挙国一致内閣と三軍首脳を率いたチャーチルの事例を知るという観点から一読の価値は在ると思う。

 文書・報告書の全文を省いたりして6巻本を1巻に纏めた物を訳しているので(それでも4冊になるが)、報告書や電報などの史料も気になるところではあるけれど。