現代史

防衛省日報問題に関して 国会会議録の記録を眺めて

防衛省日報問題に関する今週の報道は、かなり衝撃的で驚くべき内容であったと考えます。しかしながらウェブ上には何とも、雑といって良いような擁護論が観られましたので、それへの批判を兼ねて少し会議録を辿って分かったことについて記しておきましょう。…

『平和をつくる原理 小田実全集 評論第5巻』

『平和をつくる原理 小田実全集 評論第5巻』講談社、2010年 初出は小田実『平和をつくる原理』講談社、1966年で、内容的には1969年に出版された新版が収録されている。もともとは雑誌や新聞等に掲載された文章を編んだもので、講談社版全集のソフトな印象の…

薄久代編著『色のない地球儀 資料・東大図書館物語』

薄久代編著『色のない地球儀 資料・東大図書館物語』同時代社、1987年 大学図書館、それも日本の大学図書館の歴史に詳しい層にとっては結構知名度が高いようなのだけれども、本郷に馴染のある東京大学の関係者や十五年戦争に関心のある読者にとっても、本書…

小田実『われ=われの哲学』

小田実『われ=われの哲学』岩波新書黄版、1986年 小田実に対する悪評は、ウェブ上では事欠かない。 では彼の文章に対する悪評を見るかと言えば、まずお目にかからないのが常ではないだろうか。せいぜい、彼の文章の一部に示された認識の一部を、いささか暴…

清水知久『ベトナム戦争の時代』有斐閣新書

清水知久『ベトナム戦争の時代』有斐閣新書、1985年 読了後に記事を書いていない本が、何時の間にか溜まってしまっている。そして記事を書かない時期というのは、大抵は読む方も停滞している時期と言える。左足を踏み出して、右足も動かそうという訳である。…

塩川伸明『民族とネイション』岩波新書新赤版、2008年

塩川伸明『民族とネイション -ナショナリズムという難問』岩波新書新赤版、2008年 id:Mukkeさん一押しの1冊。今年ようやく積読から解消したのだけれど、最初に手に取って前半を斜め読みしたのは5年前の秋のはずで、長いようであっという間のような5年間なの…

戦後70年首相談話を巡る一談話

「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」そのような宿命を背負わせたのは誰か、という点を考える時、私には安倍首相談話のこのフレーズは大変虚しいものに感じら…

読んだ本 遠山茂樹『歴史学から歴史教育へ』岩崎書店、1980年

遠山茂樹『歴史学から歴史教育へ』岩崎書店、1980年 この論文集に収録されている論文や講演記録は、主に1950年代・1960年代に書かれたものが中心となっている。 本書の構成をみると、冒頭の著者自身による「歴史教育論への私の立場-『はしがき』に代えて」に…

はてなブックマーク別館 第5回 従軍慰安婦とアメリカの歴史教科書を巡って

この記事は、以下の4つの記事での議論への再応答です。http://d.hatena.ne.jp/shigak19/20150311/1426000131http://d.hatena.ne.jp/shigak19/20150328/1427521543http://d.hatena.ne.jp/shigak19/20150510/1431259199http://d.hatena.ne.jp/shigak19/2015052…

はてなブックマーク別館 第四回 従軍慰安婦とアメリカの歴史教科書を巡って

この記事は、以下の3つの記事での議論への再応答です。http://d.hatena.ne.jp/shigak19/20150311/1426000131http://d.hatena.ne.jp/shigak19/20150328/1427521543http://d.hatena.ne.jp/shigak19/20150510/1431259199 色々書いておられますが、要は 「安倍や…

読んだ本 笠原十九司『ファミリー版世界と日本の歴史9 現代1 戦争と平和』

笠原十九司『ファミリー版世界と日本の歴史9 現代1 戦争と平和』大月書店、1988年 222p 209 12冊からなるシリーズの全巻を読み切った訳ではない私にとって、この巻自体の特色とシリーズ全体の特徴とを分けて取り上げることは困難であるから、基本的に本巻を…

読んだ本 木村靖二『二つの世界大戦』

木村靖二『二つの世界大戦』世界史リブレット46 山川出版社、1996年 90p 209.7 世界史リブレットの特色は高等学校世界史で取り上げられている水準の知識を有していれば読むことが出来るように配慮されていることだろうが、それぞれの巻は大抵(1)高校世界史の…

読んだ本  山口定『ファシズム』

山口定『ファシズム』岩波現代文庫、2006年 311.9 ファシズムとは何かという問題を扱った入門書。1979年に有斐閣から刊行された物の増補版。イタリア・ドイツを初め日本・スペイン・ハンガリー等々の各国を運動・思想・体制の三つの面から比較分析しておりフ…

チャーチル『第二次世界大戦』補遺

W・S・チャーチル 佐藤亮一訳『第二次世界大戦 1』河出書房、1975年第二次世界大戦〈1〉不幸への一里塚 (1975年)作者: W.S.チャーチル,佐藤亮一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1975メディア: ?この商品を含むブログ (3件) を見る 第二次世界大戦〈1〉 …

読み終わった本

W・S・チャーチル 佐藤亮一訳『第二次世界大戦 1』河出書房、1975年第二次世界大戦〈1〉不幸への一里塚 (1975年)作者: W.S.チャーチル,佐藤亮一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1975メディア: ?この商品を含むブログ (3件) を見る W・S・チャーチル 佐藤…

読んだ本 9月

秦郁彦『実録第二次世界大戦』桃源社、1968年実録第二次世界大戦―運命の瞬間 (1968年) (桃源選書)作者: 秦郁彦出版社/メーカー: 桃源社発売日: 1968メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る 秦郁彦『第二次世界大戦 鋼鉄の激突』中公文庫、1998年第二…

読んだ本 8月 その4

中村政則『労働者と農民』(小学館、1976年 小学館ライブラリー版、1998年)労働者と農民―日本近代をささえた人々 (小学館ライブラリー)作者: 中村政則出版社/メーカー: 小学館発売日: 1998/03メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (8件) を…

読んだ本・読んでいる本 8月 その1

読んだ本 河上肇『貧乏物語』(岩波文庫、1947年 1965年・2008年に改版発行)貧乏物語 (岩波文庫 青132-1)作者: 河上肇,大内兵衛出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1965/10/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (23件) を見る か…

読んだ本・読んでいる本

むのたけじ『たいまつ十六年』(岩波現代文庫、2010年)たいまつ十六年 (岩波現代文庫)作者: むのたけじ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/02/17メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 61回この商品を含むブログ (8件) を見る 川島真『シリーズ中国近現代…

11日の読書

渓内謙『現代史を学ぶ』(岩波新書 1995年)の続きを読む。第3章まで読了。 1920年代から1930年代にかけてのロシア史に関する文章や文献を読んだことが無かったので、ドイッチャーの名前も初めて知ったりした。 現代史を学ぶ (岩波新書 新赤版 (394))作者: …